平成27年度本試験 募集株式発行の件
前回お伝えしたとおり、11日の土曜日に本試験の分析会が行われ、私は商業登記法の記述の解説をさせていただきました。
別紙8の第2号議案に基づく募集株式の発行については、
①種類株式発行会社においてする譲渡制限株式の募集であるが、当該募集にかかる株式の種類株式を有する株主による種類株主総会の決議(会社法199条4項)がなされていない。また、当該決議を要しない旨の定款の定めもない。
②取締役会設置会社であるにもかかわらず、譲渡制限株式の割当決議を株主総会で行っている(会社法204条2項)。また、定款に別段の定めもない。
という理由で無効原因があり、登記の申請をすることができない旨の説明をいたしました。
ところが講義後に受講生の方から、他のいくつかの予備校では有効に発行できるものとして第2欄に記載していると伺い、びっくりしてしまいました。
正直に申しますと、私も上記の理由のうち、②については問題を解きながら直ぐに気がついたのですが、①の理由は、後になってこれもあるなと思った次第です(実は、私は司法書士として申請する立場からは、種類株式発行会社でも現に一種類の株式のみ発行しているのであれば、「株主総会」の決議は同時に「種類株主総会」の決議として認めるような、便宜的な扱いを認めても実務上は良いのではないかと考えているのです。)。
もしかしたら、出題者も②の理由のみを考えていて、①の理由は認識していなかったのではないかと思ったりしております。
②の理由は、取締役会設置会社である非公開会社においては、現在の会社法になった当初から、実務書などで指摘されていた、
募集事項の決定 → 株主総会
割当決議 → 取締役会
になるので注意を要するというメジャーな論点です。
私も、割当決議を株主総会において行っているので無効原因があり申請すべきでないという模擬試験の問題を、何度か作成しております。
今回問題を解きながら、別紙8第1号議案まで処理してきて、ボリュームが多いなあ、こりゃ大変だと感じていました。
そして、さらに別紙8第2号議案の「募集株式の発行の件」、「まだあるのかぁ。」とうんざりしたところ、“(5)割当て方法”を見て書かなくていいんだと、ほっとしました(一応定款を確認しましたが。)。
出題者も、募集株式の発行まで記載を要するとするのでは、あまりにも時間がかかり過ぎると考えたのではないでしょうか。
割当決議の問題点にさえ気が付けば、これによって別紙10聴取記録の6及び7を無視してよくなり時間の短縮をはかることができるのです。
聞くところによると、出題のミスではないかとか、登記の申請をすべきでない事項を記載する解答欄がないことから申請できるのではないかとの指摘があるようです。
前者については、もしそうであるならば由々しき問題であります。しかし、繰り返しになりますが、取締役会設置会社である非公開会社では募集事項の決定機関と、割当決議の機関が異なることは良く知られた論点です(だから、実務書などでは、定款で別段の定めをしておくと良いといった指摘がされます)から、この問題の出題者がこの論点に気付かなかったとは考えにくいと思慮します。
後者については、これは推測ですが、解答欄を設けることも検討したのかもしれません。ただ、無効原因となりうる理由が上記のとおり①と②があり、ただでさえボリュームが多いのに、これらをすべて記載させるとなると明らかに時間がかかり過ぎると判断してその解答欄は設けないことにしたのかもしれません(②だけならともかく、①の理由もありと判断した受験生は沢山記載しなければならず、良く理解している受験生ほどかえって時間の消費を強いられることになる)。
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別紙8の第2号議案に基づく募集株式の発行については、
①種類株式発行会社においてする譲渡制限株式の募集であるが、当該募集にかかる株式の種類株式を有する株主による種類株主総会の決議(会社法199条4項)がなされていない。また、当該決議を要しない旨の定款の定めもない。
②取締役会設置会社であるにもかかわらず、譲渡制限株式の割当決議を株主総会で行っている(会社法204条2項)。また、定款に別段の定めもない。
という理由で無効原因があり、登記の申請をすることができない旨の説明をいたしました。
ところが講義後に受講生の方から、他のいくつかの予備校では有効に発行できるものとして第2欄に記載していると伺い、びっくりしてしまいました。
正直に申しますと、私も上記の理由のうち、②については問題を解きながら直ぐに気がついたのですが、①の理由は、後になってこれもあるなと思った次第です(実は、私は司法書士として申請する立場からは、種類株式発行会社でも現に一種類の株式のみ発行しているのであれば、「株主総会」の決議は同時に「種類株主総会」の決議として認めるような、便宜的な扱いを認めても実務上は良いのではないかと考えているのです。)。
もしかしたら、出題者も②の理由のみを考えていて、①の理由は認識していなかったのではないかと思ったりしております。
②の理由は、取締役会設置会社である非公開会社においては、現在の会社法になった当初から、実務書などで指摘されていた、
募集事項の決定 → 株主総会
割当決議 → 取締役会
になるので注意を要するというメジャーな論点です。
私も、割当決議を株主総会において行っているので無効原因があり申請すべきでないという模擬試験の問題を、何度か作成しております。
今回問題を解きながら、別紙8第1号議案まで処理してきて、ボリュームが多いなあ、こりゃ大変だと感じていました。
そして、さらに別紙8第2号議案の「募集株式の発行の件」、「まだあるのかぁ。」とうんざりしたところ、“(5)割当て方法”を見て書かなくていいんだと、ほっとしました(一応定款を確認しましたが。)。
出題者も、募集株式の発行まで記載を要するとするのでは、あまりにも時間がかかり過ぎると考えたのではないでしょうか。
割当決議の問題点にさえ気が付けば、これによって別紙10聴取記録の6及び7を無視してよくなり時間の短縮をはかることができるのです。
聞くところによると、出題のミスではないかとか、登記の申請をすべきでない事項を記載する解答欄がないことから申請できるのではないかとの指摘があるようです。
前者については、もしそうであるならば由々しき問題であります。しかし、繰り返しになりますが、取締役会設置会社である非公開会社では募集事項の決定機関と、割当決議の機関が異なることは良く知られた論点です(だから、実務書などでは、定款で別段の定めをしておくと良いといった指摘がされます)から、この問題の出題者がこの論点に気付かなかったとは考えにくいと思慮します。
後者については、これは推測ですが、解答欄を設けることも検討したのかもしれません。ただ、無効原因となりうる理由が上記のとおり①と②があり、ただでさえボリュームが多いのに、これらをすべて記載させるとなると明らかに時間がかかり過ぎると判断してその解答欄は設けないことにしたのかもしれません(②だけならともかく、①の理由もありと判断した受験生は沢山記載しなければならず、良く理解している受験生ほどかえって時間の消費を強いられることになる)。
