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商人間の留置権

ebisawatakeshi

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 商法521条
  商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。

 商人間の留置権の成立要件は次の通りです。
 (1) 被担保債権についての要件
  ① 当事者双方が商人であること。
  ② 当事者双方のために商行為たる行為によって生じた債権であること。
  ③ 債権が弁済期にあること。
 (2) 留置の目的物についての要件
  ① 債務者所有の物または有価証券であること。
  ② 債務者との商行為によって債権者の占有に帰したものであること。

 民法上の留置権(民法295条)と異なるのは次の点です。
  ① 留置物と被担保債権との牽連性を要しない。
  ② 目的物は債務者の所有するものでなければならない。

 試験対策としては、民法上の留置権と異なる点、双方的商行為であることが要件である点を覚えておけば、おそらく正解とすることができるでしょう。

 なお、民法上の留置権との差異について、日評の基本法コンメンタール(第三版)からの記述を引用しておきます。

 “民法上の留置権が、ローマ法に起源を有するのに対して、商人間の留置権の制度は、中世のイタリア都市における商慣習法において形成された。また、前者は、個別的な民事取引における当事者の衡平の確保を目的とするものであるが、後者は商人の手元を頻繁に出入りする一般商品を担保物たらしめ、継続的信用取引の安全と迅速化に奉仕するものである。”

 こういう記述を読むことは、一見受験勉強には不要のように思われますが、いざ問題を解くというときに、頭のどこかにこの記述があることは、意外に正しい選択肢を選ぶのに有用なものなのです。 
 ちょっと、連想ゲームを。
 「イタリア都市」「商人」
     ↓
 「ベニスの商人」
     ↓
 “let the forfeit be nominated for an equal pound of your fair flesh”
     ↓
  判決“肉は取っても良いが、血を流しちゃダメですよ。”

 190520 商人間の留置権【画像】
 「裁判長、人の生肉提供契約なんて、そもそも公序良俗違反で無効でしょ!」 

 民法90条
  公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。


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