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享有

ebisawatakeshi

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 一般的な国語辞典でも法律用語辞典でも、だいたい「権利・能力などを生まれながらにもっていること」であると説明されています。

 憲法12条の「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」の“享有”は、まさにこの意味で用いられています。

 一方、民法3条1項の「私権の享有は、出生に始まる。」の“享有”はすこしニュアンスが違っている気がします。生まれながらにして持っているものを、出生に始まると表現するのは少し変ですよね。
 有斐閣の法律用語辞典は、“私権の享有”という見出しの項目を設け、「私法上の権利を持つこと。」と説明しています。この場合の“享有”は持つ・有するという意味に、与えられるという感じが含まれているといったところでしょうか。


 先日お墓参りに行ってきました。
 墓誌には、それぞれ父と母の亡くなった年齢で「享年○○才」と刻まれています。
 享年の“享”は「うける」とい意味ですから、“享年”とは「(天から)享けた年数」、すなわちこの世に生きていた年数のことです。
 したがって、たとえば78歳で亡くなったのであれば「享年78」と表記するべきで、「享年78歳」とすると、“歳”は余計な繰り返しになってしまいます。
 しかし、ほとんどの国語辞書では、本来の意味のほかに「死んだ時の年齢」もその意味として認めているようですので、「享年○歳」でも良いようです。

 私に、親孝行というものがあったとすれば、両親をともに看取ったこと、すなわち子を亡くすという最大の悲しみを与えずに済んだことではないかな、などと思っています。

 “父母が 頭(かしら)かきなで 幸くあれて
    いひし言葉(けとば)ぜ 忘れかねつる“

 この若い防人は、再び父、母に抱きしめてもらえたのでしょうか。
 万葉の昔に思いを馳せます。

161203 享有【画像】


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